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電話の相手は英輝。
一ヶ月前に出会ったあのイケメンサラリーマンだ。
なんで彼とのメールで
「天国に逝くかも」
なんて打ったんだろう。
結局心配した彼から
掛かってきたのが今の電話だ。
どうしちゃったのよ、あたしったら。
うちの店では同伴以外に
外で会ったりアフターは禁止なのに。
正気なの?
いくら彼氏と別れたからって…
(…別れたからって…)
ポトッ
「うっ、うぅ」
午前12時を回った今日はクリスマスイヴ
まさかその前日に
2年と半年も付き合ってた彼氏から
捨てられるなんて思ってなかった。
遠距離だったから
今年も会えないのは分かってたけど
あまりにも惨めすぎるよ。
駅前のバス停に備えつけられた
ベンチに腰掛けひたすら泣いていた。
だって夜が空ければ今日は
世界中の人にとって
最高に幸せな日になると言うのに
あたしはちっとも
幸せじゃなかったから。
けれど捨てられた本当のワケは……
英輝を待って
一時間程泣きじゃくっていただろうか
突然右手から現れた見知らぬ男が
こちらに向かって歩いてきた。
(英輝じゃない)
あたしは動けずにその場で固まる。
男は一つ離れたベンチに座った。
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