学校へ

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「雲母~遅いぞ! もう追加デザート来たぞ!」 「ご、ごめんね。ちょっとトイレに」  そう言いながら席に着けば、全員分のデザートが並べられていた。  美希と遊香は、雲母が戻って来るのを待ちきれず、デザートを食べていた。雲母も食べる事にするが…… 「……ここが食事処じゃと? ほうほう~」  肩の上にいる狐様はテーブルの上を興味深く眺めた後に店内を見渡し、目を輝かせていた。  白面金毛九尾の姿と声は、クオが意識しなければ雲母と妖怪以外に見聞きされない。なので、雲母の肩で周りを不思議そうに眺め「おーっ」と声を上げる大妖怪様が周りに知られる事は無い。  ……く、クオさん騒ぎ過ぎだよ。  雲母にはしっかり聞こえるだけに、気になって仕方が無かった。白面金毛九尾が死を迎えた時代から世界は文明開化により大きく変わったので、クオがはしゃぎたくなるのは無理も無いのが理解出来る。  出来るけれど、こうも耳元で色っぽく声を出されれば、気になって気になって会話に集中出来ない。 「……だよな。――おお~い雲母??」 「――?! な、何かな??」  案の定、遊香に名前を呼ばれたが、その会話がなんの事かがよく分からなかったのだ。 「雲母ちゃんどこか調子悪いの??」  美希がフォークを止めて心配をする中、寧ろ、クオさんの調子が絶好調で困ってるんだよ。なんて思いながら…… 「大丈夫だよ。ちょっと夏休み呆けが取れてないのかも」  笑みを浮かべ喋れば「へえ~彼氏さんとのノロケか」と遊香の言葉に、思い出したのは夏休みの後半の思い出で。  自然と顔を赤くさせ照れる雲母だが、そんなにノロける程の関係まで行って無いと否定はしておいた。  デザートの時間は、終始雲母の彼氏ついての質問攻め。結局、夏休みに祖父の神社でアルバイトをした際に、二人で生活を共にした事を話をして、相手も神社の神主になる人である事を伝えた。
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