学校へ

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 いつも通りに雲母もテーブルの前に座れば、携帯電話を取り出した頃に、父が新聞を折り畳む。 「雲母? アルバイトはどうだったんだ?」 「――ん? ……ん~貴重な経験だったよ」  ちょっと、朝から翻弄される話題に、はははっ、と笑いを織り混ぜ答える。 「そっか。雲母の巫女姿か。一度見たかったが写真は無いのか?」 「な、無いよ。お父さんこそ、小さい頃はおじいちゃんの家で袴とか着てたの?」 「ああ、じいちゃんは純和風だからな。勤める人は全員和服で見慣れたもんだが、娘の巫女姿は見て無いからな」  ご機嫌そうに喋る父親は、きっと勝手に想像しているんだろうと思いつつ、自分にとって、夏休みは特別なものになった。  母親が朝食の用意を終えて、ご飯がテーブルに並べられる。食事はこんがりと焼かれたトーストに、焼き立ての目玉焼きに、サラダであった。 「久しぶりかも」  洋食を見るなり思わず言葉にする。何せ、夏休みのアルバイト期間は、自分が食事を作る事になり、意識は余りしてなかったが和食ばかり作っていた。それ故に、なんか洋食が新鮮に思ったのだ。 「ハハハッ、確かにじいちゃんの家は和食オンリーだからな。だから父さんは、神社から出たんだ」 「えっ? そうなの?」 「まあな。さあ、食事にしようか」  父親の言葉に何気無く自分の自宅を見渡す。確かに現代風の一戸建ての家に和室はあるが、祖父の家には程遠く、寧ろ、和の要素が少ない。  雲母は不思議そうに見渡しながら、まずは「いただきます」と口にすると食事をする事にした。  自分で作るご飯も良いけど、やっぱり作って貰うのは楽かも。そんな思いをしながらも、小さな口で母の料理をしっかり味わい食べる。
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