学校へ

8/80
1721人が本棚に入れています
本棚に追加
/632ページ
「なら、美希が大丈夫なら行こうよ!」  俄然やる気。いや、遊花のテンションが落ちている日なんてあるのであろうか? それ位に彼女は元気に溢れている。そんな彼女の性格がちょっと羨ましい雲母であったりする。  二人でその話題を出せば、美希も予定は無いとなったので、三人で学校帰りにある場所に行く事が決まった。 「んじゃ~その前に何か食べよう! 何か食べたいものがある人ー!?」 「食べたいものか……」 「私はなんでも良いです」 「も~雲母も美希もいつも控えめなんだから! じゃあ~いつもの場所でいい?」  なんて呆れ気味の遊香の一言が決め手となり、三人は下校する事にした。  午前授業は、どうやらうちの学校だけではなかったようだ。昼のこの時間帯であるが、街中には学生服の男女がよく目に付く。  まあ、彼方の生徒からすれば此方もそう思えるのだろう。久し振りに来た街中の賑やかぶりに、些か圧倒される雲母は何処と無くこの感じを懐かしむ。  出向いた先は、三人がよく使うファミリーレストランである。やっぱり、この時間帯はお腹を空かせた人々で満席であったが、意外にも待ち時間は少ないようだ。  入口で座り待つ間、遊香は美希に何か聞きたい事があったのか、二人で話が始まる。そんな間に雲母は携帯電話を取り出すと……  ……んん~どうしようかな。  と、メールボックスを開いて、困っていた。その画面には、二堂誠吾と名前がある。  この夏休み、雲母が想いを寄せた男性で、祖父の家から帰る際に告白をした事で新たな関係が始まった相手である。  ちょっと特殊な条件はついたものの、好きで恋焦がれる相手だけに、メール一つ送るにも数十分の時間を要する。それも、まだ夏休みを終えてからメールをしたのは一回だけ。  何をなんてメールしていいものか? 取り敢えず、最初にお礼の挨拶をメールすれば『宜しく』と素っ気ない返信が来ただけに、その後、どうすればいいのか雲母は首を傾げるばかりであった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!