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学園祭の日なんて来なければいい…なんて思っていても、それは叶わない事だ
私は今、フリフリのメイドの格好をしている
私のクラスのメイド喫茶には、そんな私の姿を面白がって見に来ている生徒で満員だ
「うわぁ…流石美少女…」
「笑わないとこがまたいいわ」
などと好き勝手に言ってくれている
先程雪那も面白がって見に来ていたくらいだ
彼女は注文するでもなく、私を見つけると一通り笑い倒して帰って行った
ただ笑いに来ただけなわけね…
と呆れ返ったのは云うまでもない
「小鳥遊さん、ご指名よ」
さっきから私はそればっかりだ
たかが学園祭で、何故指名制度を採用したのか…
私にプラスになる事は何一つないのに
そんな事を思いながら、一応“お客様”の前でも堂々と溜め息を吐く
それが罷り通るのは勿論これが学園祭だからだろう
それに学級委員からも
「小鳥遊さんはツンツン接客してくれればいいわ」
と言われたのだから尚更だ
「…ご注文はお決まりですか?」
「は、はいっ!!紅茶とワッフルを…そ、それと…スマイルを1つ」
これを言われるのももう数えきれない
テーブルに置かれているメニューには
少し小さくではあるが、確かに【スマイル0円】と書かれている
今時こんなの誰が頼むって言うのかしら、なんて思っていたけど、私を指名する人は皆これを頼んでくるのだ
今の所100%の確立で…
「…生憎ですが、只今スマイルは売り切れております」
そう言って私は若干の睨みをきかせ、その場を後にした
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