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ホマレは夢の中で微睡んでいた。
黒い住宅街。赤い空。
雲だけ白く浮き出ているような怪しい空間。
そこにホマレは独り、立っている。
「ここは…どこだ?」
ホマレは周りを見渡す。
しかし誰もいない。
自分の影は赤く、その漆黒の世界に自分だけがいた。
ホマレは叫ぶ。
「誰か!いないのか!?ここはどこだ!?」
ホマレは冷や汗を流しながら真っ黒な路地を行く。
次の路地へ出た瞬間だった。
空の雲が突然異様に多く出てきたのだ。
すると一筋の光がホマレに向かって差し込んだ。
「!?なんだ!?」
ホマレはその空の光を仰ぐ。
すると空から声がしたのだ。
『ホマレ。これから貴方に指令を出します。自分の力を使ってある者たちの願いを叶えてきなさい。そしてそれが出来た時、貴方の中で何かが判るでしょう。その者たちにどういう願いをどう叶えるかはこれからの自分に反映します。さぁ闇を切り開きなさい』
女性の声のような男性の声のような中性的な声で淡々と告げられたその言葉。
「力を使って願いを叶えてくる!?俺の力ってなんなんだ!?」
ホマレは光を眩しそうにして見ながら、その声に問いかけた。
『貴方の力は…現実を否定する事です。生きてる者を否定すれば死へと。苦痛を否定すれば安らぎを。現実の事象を否定する、それが貴方の出来る能力です。気づいているのでしょう。自分をもっとよく見つめてみなさい。そうすれば見えてきます』
その中性的な声がそこまで告げると、空がまた雲がなくなり、光もなく、また真っ黒な世界に戻った。
そしてホマレは目を覚ました。
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