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真っ暗な食堂に入ろうとすると、先にこんな深夜に食堂のテーブルに座っている人影が見えた。
「だ、誰かいるのか?」
ホマレは電気をつけようとすると、先にその声は反応した。
「あ、ホマレくん…ごめん、電気付けていいよ」
その正体はなんとククリであった。
ホマレはそれを見て驚く。何故こんな深夜にククリが施設内に真っ暗の中にいるのか。それの意味が全く見当も付かなかったからだ。
「おい、お前どうしてここにいるんだ?」
ホマレはその疑問を解消すべく電気を付けて食堂に入って水を取ってこようとした。
水道まで行ってホマレはコップに水を注ぐ。
すると後ろから大きな人影がホマレの影を被さった。
「ホマレくん!!助けて!!」
ガシッ!!とホマレの後ろからククリが急に抱きついてきたのだ。
「!!なんだよ!!いきなり!おい!どうしたんだ!?」
ホマレは自分より大きいククリの肩を持って少し引き離す。するとどうだろう、ククリは泣いていたのだ。
「うっ、うっ…私、もう家に帰りたくないよ…お父さんもお母さんも二人ともおかしいの…もうどうしたらいいか…」
嗚咽を繰り返すククリ。一体何があったのだろうか。ホマレは状況を飲み込めていなかった。それにいつもあんなに明るいククリがこんなに泣いている。初めて見せるククリの表情。メンタルフレンドという仲になって間もないが、ククリは自分の事情などホマレに言った事もなかった。あまりにそれは突然な事であった。
「父親と母親と何かあったのか?とりあえず落ち着いて話せよ」
そういうと、ホマレは自分の持っていたグラスとは別にまた水を注いでククリを椅子に座らせて、水を飲ませた。
そしてホマレもククリの正面の椅子に座った。
「…で、何があったんだ?」
ホマレがククリが少し落ち着いてきたのを見て、切り込んだ。ククリは目を袖で拭いて泣き止む。
「うん…実は今日初めて聞いたんだけど…私、お父さんの子供じゃなかったんだって…」
なんと、それはとてつもなく重い一言だった。ククリの父親だと思っていた人は実の父親では無かったとククリは告白したのだ。
ホマレはそれを聞いて驚くのもあるが、どう声を掛けていいのかも判らなかった。
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