宿った力

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2012年10月1日。 彼の力は目覚めた。 真っ赤に染まったリビング。 その赤いものの正体は。 そう、彼の両親の血液だった。 顔も身体もあちこち変形している。 腹部からは内蔵が飛び出し、それはもう普通の精神状態の人間であれば見れたものではなかった。 ただ、彼は両親の日々の虐待に耐えられず、願っただけだった。 『リフレクト』 そう呟けと心の中の何かに言われたから、彼は両親がいつものように家にあるもので彼を殴りつけ、蹴り倒し、彼に痣が増えていく途中、またいつもの様に彼に両親は言う。 「お前が生まれてきたから私は不幸になったんだ!」 「お前なんてどこにでもいきやがれ!悪魔の生まれ変わりが!!」 自分を勝手に生んだ親がそう毎日呪文のように唱える。 彼はもう耐えられなかったのだろう。 自分のひ弱さ、未熟さ、自らの命の存在、全てがもう耐えられなかったのだろう。 その心の中の言葉に彼は頼るしかなかったのかもしれない。 彼は叫ぶ。 「リフレクト!!!!!」 その瞬間だった。 空間が歪み、真っ黒なブラックホールができるかのように渦が巻き、轟音と共に次の瞬間転がっていたのは… 彼の両親の亡骸だった。
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