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この学園の科目は共通科目と学部科目に別れてはいるが、その学部の人間とパーティー申請を入れれば他学部科目を受け、単位を習得することが可能になっている。
自然錬金学Ⅰは風術学部のため、彼を引き連れ一号館に存在する風術学部の事務部へ行く。
「すいませーん! パーティー申請しにきました!」
はい、ではここにお名前と学生番号を記入して下さいと言われ、私は破裂しそうな心臓を押さえながら羽ペンを握る。パーティー申請。苦しい。心臓が締め付けられるようだ。これは断じて緊張ではない、持病だ。
「か、書いたぞ」
「はい、では申請しておきますね」
にこやかに風術学部事務員はそう言った。なんとか失態せずにすんだらしい。
「先輩せーんぱーい! 先輩は今日講義何限から!? 自然錬金学って五限だよね!」
「……私は……三限からだな」
この学園は一限が九時から十時半まで、二限が十時四十分から十二時十分、三限が昼休みを挟み十二時四十分から十四時十分、四限が十四時二十分から十五時五十分、五限目は十六時から十七時半までという時間帯で行われる。
「それと貴様。年上にタメ口はいかん。……あと、お前の名前、もう一度……教えてくれるか?」
覚えてないことを咎められると思ったが、彼は笑顔で頷いた。
「うん!」
うんじゃなくてはいだろ、行ったそばからコイツは。
「パルケエスパーニ・パルロップ・パリミリョン!」
「パル……?」
ダメだ、全然覚えられない。
「じゃあイニシャルPが三つだから3P(スリーピー)な」
3Pはぽかーんと阿呆口を開けていたが、やがて目をキラキラさせて頷いた。
「スリーピー! イエーイ! うっへへへへへへ!!」
「変な笑い方をするな!」
そう怒りつつも、嬉しそうにする丸い瞳を少しだけ羨ましく思った。
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