【第一話】

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 この学園の科目は共通科目と学部科目に別れてはいるが、その学部の人間とパーティー申請を入れれば他学部科目を受け、単位を習得することが可能になっている。  自然錬金学Ⅰは風術学部のため、彼を引き連れ一号館に存在する風術学部の事務部へ行く。 「すいませーん! パーティー申請しにきました!」  はい、ではここにお名前と学生番号を記入して下さいと言われ、私は破裂しそうな心臓を押さえながら羽ペンを握る。パーティー申請。苦しい。心臓が締め付けられるようだ。これは断じて緊張ではない、持病だ。 「か、書いたぞ」 「はい、では申請しておきますね」  にこやかに風術学部事務員はそう言った。なんとか失態せずにすんだらしい。 「先輩せーんぱーい! 先輩は今日講義何限から!? 自然錬金学って五限だよね!」 「……私は……三限からだな」  この学園は一限が九時から十時半まで、二限が十時四十分から十二時十分、三限が昼休みを挟み十二時四十分から十四時十分、四限が十四時二十分から十五時五十分、五限目は十六時から十七時半までという時間帯で行われる。 「それと貴様。年上にタメ口はいかん。……あと、お前の名前、もう一度……教えてくれるか?」  覚えてないことを咎められると思ったが、彼は笑顔で頷いた。 「うん!」  うんじゃなくてはいだろ、行ったそばからコイツは。 「パルケエスパーニ・パルロップ・パリミリョン!」 「パル……?」  ダメだ、全然覚えられない。 「じゃあイニシャルPが三つだから3P(スリーピー)な」  3Pはぽかーんと阿呆口を開けていたが、やがて目をキラキラさせて頷いた。 「スリーピー! イエーイ! うっへへへへへへ!!」 「変な笑い方をするな!」  そう怒りつつも、嬉しそうにする丸い瞳を少しだけ羨ましく思った。
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