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「じゃ、お腹減るまでベンチでお話しよーよ!」
ぐいぐいと手を引っ張られる。一号館の中を進み、中庭へと移動する。通路には人がごった返している。丁度一限の休み時間とかぶってしまったらしい。
なんとか中庭に辿りつくと同時に、響いたのは罵声だった。どうやら不良達が何かしているらしいが、ここからではよく見えない。
「何してんだろー? ね、先輩! 僕ちょっと見てくるね!」
3Pはそう言って騒ぎの方へとかけだしてしまう。
「ちょ、ちょっと待っ」
止める間もなく私はその場に取り残された。関わらない方がいい、野次馬にでもなって巻き込まれたらそれこそ――
ぞろぞろと不良連中が私の横を通り過ぎていく。ガラの悪そうな男達ばかりだ。
彼らは私を一瞥しながら通り過ぎていく。私は視線を上にあげようとしたが、中々できず、ただ自分の靴を見つめていた。
ガラの悪い不良連中がいなくなってから私は彼らが集まっていった場所――3Pが行った場所に向い走り出した。竦んでいたはずの足は今ならすいすいと動くというのに。
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