【第一話】

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「ねえ、怒ってるー? ねえねえせんぱいー」  怒ってるわけではない、どうも何かを話す気分にはなれなかっただけだ。  私達は中庭ではなく、休憩ホールのベンチに腰掛けていた。 「ねえねえ、僕が何かしたなら謝るから! ごめんなさいー!」  この瞳に私は弱い、と思う。ため息を一つ吐き、「怒っているわけではない」と口を開いた。 「ねえねえセンパイ! お弁当食べてね! 一緒に食べようね!」  無邪気、なのだろうか。なんだかよくわからなくなってきて、私は小さく「うん」と頷いた。
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