滅び逝く地平

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―不死鳥― 茶色く干からびた大地と蒼く澄みきった空。 その狭間に突如として異変が生じた。何の前触れも無しに出現した黒い靄。それは稲妻を迸らせながら次第に巨大化していく。 直径凡そ30㍍。そこで靄は成長を止めた。そして―― 「うわぁぁぁぁぁぁあ!?」 男の叫びと共に、白い戦闘機が飛び出してきた。背中に大型の増加ブースターを装着した戦闘機はクルクルと回転しながら落下していく。 「くっ!」 パイロットの男は地表が迫る中、フットペダルを踏み、操縦管を手前に引く。すると、メインスラスターが機体下部へ移動し、戦闘機には有り得ない『脚』となって地表スレスレを滑るように飛ぶ。 「ここは…?」 機体の姿勢が落ち着き、男は機体を操作しながら周囲を見渡す。 「何処だよ…俺はさっきまで海上に…」 そこまで呟き、男は思い出したように顔を上げる。 「そうだ!反応弾は!?マヤンの島は!?サラは!?」 男は前後左右、上下にまで視線を配るが、視界にもレーダーにも彼が探すものは何一つ映らなかった。 男――工藤シンは愛機【VF-0 フェニックス】と共に愛する者の姿を探す。
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