78人が本棚に入れています
本棚に追加
一年前、私は結婚の約束をしていた男に振られた。
同期入社ですぐに意気投合し、親友から恋人に昇格して3年付き合ったのに、彼の転勤で遠距離になってたったの半年で、私はアッサリ振られたのだ。
何でも言い合えて、気兼ねしなくて、一緒に居るだけで楽しくて。
男友達の延長みたいな二人だったけど、その分絆は確固たるものだと思っていたのに。
どうやらそう思っていたのは私だけみたいだった。
『大丈夫、離れていても気持ちは変わらないよ』
『俺は大丈夫だから、杏子も頑張れ』
何度もそう言ってくれた彼は、向こうに好きな女を作って、電話一本で私に別れを告げた。
『大丈夫、杏子にはもっといい奴できるから』
って。
大丈夫って何?
何でアンタが私の気持ちを大丈夫だなんて言うのよ?
私は何も大丈夫なんかじゃなかったのに。
そんな事、最後の時まで言えはしなかったけど。
最初のコメントを投稿しよう!