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「お前が今トキメイタのは、カンチガイじゃねぇからな。間違いなく、俺に感じたんだよ」
強気な発言とは裏腹に、懇願する様な目でそんな事を言うから、ただの同期だと思っていた相手なのに、どうしようもなく愛しさが込み上げて来てしまった。
私も大概バカな女だ。
日常的に『大丈夫』だなんて濫用する奴は信用しちゃだめだと分かっているはずなのに、杉田のこの熱を信じたいと思っている。
「お前もバカな女だな」
「言われなくても分かってる」
「だからそれがバカだって言ってんの。何にも分かってない。こんなにお前の事好きなのは、6年前から俺だけなんだよ」
告白しているはずなのに、やけに偉そうな杉田に笑いが込み上げる。
「杉田もバカな男だね」
「言われなくても分かってる」
思わず、顔を見合わせて噴出した。
「しょうがないからカンチガイじゃないって事にしといてあげる」
悔しいから、杉田の気持ちに胸が熱くなった事は、まだ教えてやんない。
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