大丈夫。

「根拠ならあるよ。俺が大丈夫って言ってんだから大丈夫なんだよ」

「何ソレ」

どれだけ上から目線の自信家なんだろうか。
どこが人当たりのいい穏やかな性格なんだろうか。

もしかしたらこの男、元彼よりタチが悪いのかもしれない。

だけど、バカな私はこの男が欲しいと思ってしまった。

「大丈夫、死ぬ程幸せにしてやるから」

うん。
杉田なら出来る気がしてきたよ。

根拠はないけど、杉田が言うと優しいだけじゃない『大丈夫』だと思えて来るから不思議だ。

一歩距離をとるどころか、杉田の大丈夫はズカズカ踏み込んで来て私の心に居座る。
慰めなんかじゃなく、魔法の言葉にさえ聞こえてくるからホントにタチが悪い。

だけど最後にもう一度だけ、この『大丈夫』を信じてみようかななんて思ってるから仕方ない。

だから私は、あえて曖昧でズルイ言葉を使うんだ。

「・・・大丈夫、私もアンタを幸せにしてあげるよ」

fin