妖精or

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「久しぶりにすっぴん見せてよ」 彼女は大爆笑した。 アハハハ、と。 何が可笑しいのだろう? この真四角でテレビをつけていない部屋には、草木の揺れる音しか効果音がなかったのだけど、今は彼女の笑い声で充満していた。 「駄目だよ、恥ずかしいなあ」 息を切れ切れにしゃべった彼女。 化粧をしていなければ、どれほど綺麗なのだろうか。初恋の彼女はいつ戻ってくるのだろう。淡い淡い彼女はいったいいつ舞い戻るのだろう。 「それじゃ行ってくるね」 彼女を引き止めて化粧を落とさせる理由はいくら考えようが、思考を深めようが、見当たる事はないだろう。
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