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「この中にまだいるぞ。」
「もうイヤよぉぉぉおおッ!」
「リリー!落ち着いて!リリー!」
ドゴォオッ!!
「…………ッ!」
扉が吹き飛び、奥の壁にぶつかった。
部屋に入ってきた男は、全身に身体のラインが分かるほどピッタリとした堅い鎧のような物を着ていて、顔は黒光りするサンバイザーの様なもので隠れていて分からない。足を振り上げているところから見て、扉を蹴り飛ばしたんだろう。
右手にはよく分からない黒い塊を持っていて、カツ…カツ…とゆっくり迷わずこちらに近付いてきたと思ったら、その黒い塊をこちらに向けてきた。
なんで、荷物の裏に隠れてたのに場所が分かったのかなんて疑問に思う余裕なんてない。僕はガタガタと震えるリリーを必死に抱きしめることしか出来なかった。
「いや、いやよ…。死にたくない、死にたくないよぉ…。」
「……。」
「…………ッ!」
男は静かに黒い塊をリリーの額に向けると――――、
バンッ!!
「ヒッ……!」
大きな破裂音がしたら、リリーの後頭部から勢いよく血が吹き出した。
僕の腕の中で震えていたリリーは、ダランと腕を垂らし、微動だにしなかった。
「ぁ、ぁあ……ぁ……ぁ。」
ヌルッとした右手の感触に、呆然とした。なにが起きたのか理解出来なかった。
男は次に僕に黒い塊を向けた。
リリーが死んだ。
みんな死んだ。
僕も、死ぬのか……?
「ぁ、ぁぁああアアアア゛!!」
「なっ!?」
死にたくない!
だったらどうするの?
どうする?
決まってる。
殺される前に、殺してしまえ……!
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