identity (たぶ恋)

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確かに。 場が寂しい、と言われれば、そうかも知れない。 当たり前だ。 いつもいる事に慣れた人間が、いないのだから。 だからと言って。 「…もー俺も臨海学校ついて行けば良かった」 学校行事に、“ついて行けば良かった”は無いだろう。 「……俺も…夕方まで出掛けるからな」 「え、どこ行くの。俺も行く」 「……あ…?………あぁ……」 むく、と頭を上げた鷹野は。 完全に引いた凱司の、嫌そうな目と渋々な頷きに。 邪魔しないから、と、にこやかに、そう言った。 「…お前……雅に似てきたんじゃねぇか?」 「そう?」 いそいそと立ち上がった鷹野は。 で、どこ行くの、と。 まるで散歩に連れ出される犬のように、凱司の顔を覗き込んだ。 .
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