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「えーと……『ワタシは近日、人を殺す予定です。従って、捕まるにしろ逃げるにしろ、ワタシの将来はワタシだけが決めていいものではなくなります。ワタシの将来はワタシのものではないのです。』……なんだこりゃ。」
嫌なものを見た、とでも言うように満は顔を顰めた。
「ただの悪戯だと思うけど、ちょっと気味悪いよね。」
永遠子は小さくため息をついた。
昔がどうだったか永遠子には分からないが、少なくとも現代の教育の場ではこのようなことは少なくない。
経験の浅い永遠子をからかって楽しんでいると思うのが妥当だった。
「あれか、中2病みたいな?」
私の担当、一年生だから。とはツッコミ出来ず、永遠子は作文を困ったように見つめる。
「本気じゃないと思うけど、人を殺す、なんて怖いこと言ってるし……一応学年主任に報告した方がいいのかなぁ…。」
悩んでいるというよりも、めんどくさそうな口振りでまたため息。
「誰が書いたの?いじめられっ子とか?だったら復讐の線もあるぜ。」
「ちょっと面白がらないでよ。」
悪ノリした満を嗜めてから、永遠子は首を振った。
「わかんないの。名前書いてなくて。」
「だってクラス全員の集めたんだろ?欠けてる奴が犯人だろ。」
「未提出の子がいるの。5人。その内の1人だとは思うけど…5人もいたら誰かなんて絞れないわよ。それぞれ、何かと理由つけて出す気ないみたいだったし。」
「おいおい初めて出した課題でそれかよ。舐められてんじゃないのか?」
「今はね教師が生徒にいじめられる時代なの。ちょっと当たりが強ければ『体罰だ!』って騒がれるし、大人しくしてればつけあがってやりたい放題。」
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