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「お前・・・紅桜か?」
「・・・」
「答えろ」
「あんたも族?」
「・・・ああ、まだ弱いけどな。
いつかあんたんとこの〝紅幻〟を俺が超える」
「あたしら〝紅幻〟をね・・・」
女は笑う
男は固まってしまった
女の笑顔が息をするのを忘れてしまうぐらい美しくて
「けど、〝仲間〟がいない奴に紅幻は潰されない」
手当てをし終わった女が耳からピアスを取り、男に渡す
綺麗な紅い華のピアスを
「約束の印
あんたの〝仲間〟を連れてきな
その時は全力であんたらと戦う」
男は笑った
「笑えるじゃん」
(俺が笑った・・・?)
「大切なモノを見つけると、人は強くなれる
けど強くなれば人が集まるわけじゃない
大切なモノを守れる強い奴に人が集まる」
「そんなもの…」
何処と無く哀しそうに言う男
「あんたは虎だ。死んだ瞳の狂った白い虎」
「てめー…ふざけてんのか?」
「知ってる?
虎ってね、強そうに見栄はってるけど、ホントは凄く怖がりで寂しがり屋なんだって」
男の瞳を真っ直ぐに見つめる女
「大切なものは案外身近にある
あとはあんたがそれに気付けるかどうか。
仲間を大切にしな」
「総長」
遠くから声が聞こえた
女は立ち上がる
「今行く」
女は立ち上がり、声の方へ歩き出す
「それにあんたのその瞳と髪。綺麗で好きだよ」
女は手を上げて、歩き出した
「おい」
男は女に向かって何かを投げた
女はキャッチする
「さっきの言葉・・・後悔するなよ」
男は言った。満面の笑みで
女はキャッチしたものを握りしめながら、その場から去った
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