453人が本棚に入れています
本棚に追加
男はしばらく、紅いピアスを眺めていた
プルルル…
男の携帯が鳴り、携帯を取った
「もしもし」
『もしもし、じゃねーよ!!馬鹿野郎!!』
携帯の向こうから大声で叫ぶ男の声
つい携帯を耳から離してしまうくらいうるさい
『また1人で喧嘩しやがって・・・
何でいっつも俺達を頼らねーんだよっ!!
これじゃ何のたm「わりぃな」・・・へ?』
「わりぃ。宗助
お前らに頼らなくて」
『おい・・・慧・・・今の聞いたか・・・
いつも自分勝手で俺様の・・・』
「ばーか宗助。聞こえてる」
宗助と呼ばれた男は電話の向こうで、慧と呼んだ男と話し出した
「なぁ、宗助。
名前さぁ変えようって言って、まだ決まってなかったよな?」
『あ、あぁ』
電話の向こうで戸惑いながら答えた男の声を聞き、男は桜を見上げた
「白い桜・・・
〝白桜〟・・・〝白桜〟にしようぜ」
『〝白桜〟・・・か。
お前にしてはいい名前思いつくじゃん』
「・・・こんな俺に着いてきてくれるか?」
『ばーか!!当たり前だろ
俺達は、どこまでもお前に着いていくぜ
おらっ、慧!!
お前もなんか言え!!』
電話の向こうで話す声を聞いて、男はまた笑った
女が言った通りだった
大切なものは近くにあった
手を伸ばせば掴める所に在った
『・・・俺も・・・宗助と同じ』
「ありがとな。慧」
『今・・・どこいる・・・の?』
「いつもの公園」
『分かった・・・待ってて・・・』
プープープー...
男は耳から携帯をはなし、桜を見上げた
あまりにも美しく桜が散っていた
,
最初のコメントを投稿しよう!