転校

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「迷った」 理事長室に行くつもりだったんだけど 迷子になったあたし 人に頼るの得意じゃないんだけど しょーがないか… 「隠れてないで出てきて 理事長室まで案内してくんない?」 「なぁーんだ。バレてたのー 結構自信あったのになぁ...」 柱の後ろから聞こえてくるちょっと高めの男の声 「...」 「いつから、気付いてたの?」 「校門から入った辺りから」 「最初からじゃん!?」 あたしは結構敏感な方だと思う 「...案内してくれる?」 「いーよ」 男はあたしの前に来た 短茶髪の癖っ毛を左耳にかけていて クリっとしている大きな茶色の瞳 その耳には白いパールみたいなピアスが付けてある バレた為かちょっとふて腐れてる そこら辺の女より可愛い 「ありがとう」 「行こっか」 「うん」 てか…なげーな、この廊下 左右見ても、一緒の壁がずぅーっと続いてる めんどくせっ… 「うわっ。宏ちゃん」 男は行きなり止まった 宏ちゃん?って...もしかして... 「宏さん?」 男の背中から顔を出してみると、案の定 その人が居た 「馬鹿胡蝶!!いつまで俺を待たせる気だ!?」 『秋沙汰 宏(アキサタ ヒロ)』 元「紅幻」の幹部だった、通り名"炎の鬼" 赤かった髪は黒に染め、何個だかわからなかったピアスは、二個まで減った 「ごめん。」 「ありがとな。阿賀 こいつ極度の方向音痴なんだ」 あたしを無視して、宏さんは男を阿賀と呼んだ 「じゃー今度、アイス奢ってね キミは迷わないように」 阿賀はあたしの頭を軽く叩いた 「待って。名前は?」 「紀威だよ。阿賀 紀威」 阿賀 紀依(アガ キイ)。 男はそう名乗った 「ありがとう。阿賀」 阿賀は背を向け、手を上げて来た道を戻っていった
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