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「…………!…………!」
私は一体、どうなったんだ……?魔王と戦っていて、それで――
「……さ…!勇………!」
変態が現れて、私たちを庇って、アイツが魔王を殴って――
「勇者さん!」
「……っ!賢者……ここは――」
悲痛な叫びにも似た呼び声が勇者の目を覚ました。ベッドから飛び起きた勇者に、白いローブの女性が文字通り飛びついた。兜を脱いだ勇者の顔は、若く凛々しい人間だった。
「魔王城より離れた場所にある小さな城だ」
「……!お前は……あの時の変態!」
「否!我輩は鋼鉄の英雄<HERO>、キャプテンクローム!」
全身タイツの男――キャプテンクロームが、筋肉を際立たせる妙なポーズを取った。勇者はキャプテンクロームを睨む。
「思い出したぞ。何故、あそこで私を殴った!」
「気絶させてでもお主を止めねば、死ぬまで戦っていただろう」
「私は誇り高き勇者だ、竜の末裔だ!死など恐れていない!」
「お主のことではない、仲間のことだ」
「あ……」
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