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「そんな話をしている場合ではないんだ、2人共、怪我は大丈夫?」
「大丈夫です!お城のひとたちが治してくれました!」
「ああ、俺もバッチリだぜ」
「じゃあ、早速魔王城へ向かおう!……おい、変態」
「否!我輩は鋼鉄の――」
「ええい面倒臭い!キャプテンなんたら!」
「否!我輩は――」
「キャプテンクローム!お前の力を貸してくれ」
「断る」
「なっ――」
キャプテンクロームは即答した。勇者が傍に立てかけてあった剣を掴む。
「お前、敵の手先か……!?」
「味方でなければ敵とみなすか。戦闘中ならまだしも、ここで判断を下すにはいささか短絡的だ。関心せぬな、勇者殿よ」
「言葉遊びをしているんじゃない。これは世界をかけた戦いなんだ」
「だからといって、我輩が力を貸す理由にはならぬな」
「~~っ!」
頭に血が上った勇者が剣を抜こうと柄に手をかける。その様子を見た戦士と賢者が勇者を止めた。思わず戦士が叫ぶ。
「おい、アンタ正義の味方なんだろ!魔王城から俺たち3人を連れ帰るくらいの実力があるんだ、手伝ってくれてもいいだろ!」
「我輩は正義の味方ではない。鋼鉄の英雄<HERO>だ」
「だから言葉遊びをしている場合じゃないと――!もういい!戦士、勇者!装備を整えて行くぞ!」
「わ、わかりました!」
「おう、任せとけ!」
「いつまで腕を触ってるんだ、離せ変態!」
腕を触っていた戦士の顎に、勇者の肘が直撃した。ふごぉっ!?という断末魔が聞こえて戦士が倒れた。倒れた戦士を引きずって、勇者と賢者はその部屋から出て行った。
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