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「君がみいちゃん虐めたの?」
「虐めたっつうか、一般論言っただけだ。俺、そいつの同僚兼友人だからな、心配して何が悪い」
「悪くはないけど、ちょっと不用意だったんじゃない?」
泣かしちゃダメでしょ、と桜庭さんが言う。
化野のため息が聞こえた。
「そいつ、流され易いんだ。もしかしたらいいように言いくるめられて、傷付くんじゃねえかって思ったんだよ。でも杞憂で安心した。どうみても、あんたの方がケイにベタ惚れみてぇだし」
「ケイ?」
「そいつの仕事用の名前。何だ、話してねぇの? ケイ」
少しだけ緩められた腕の中から、桜庭さんを見る。
「本名、出したくなくて、『KB@323』で活動してるんです。それで化野にはケイって」
「どんな仕事?」
「作詞家です。あるグループ専属の」
グループ名を出しても、桜庭さんにはピンとこないらしく、首を少しだけ傾けた。
「仕事柄、あんまりテレビ見ないし、音楽も聞かないからなぁ。ゆーめーなの?」
「有名だよ。新曲を出せば、必ずランキングの上位にはいるほど」
化野が説明すれば、うーん、と桜庭さんは興味なさげに唸る。
「ケイ以外興味なさそうだな」
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