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「ないなぁ。みいちゃん以外見る気しないしぃ」
ね、と俺に同意を求める。
頷き、油断していたところに、目元へキスされてしまった。
「さくっ……」
「泣き止んだねぇ。よしよし」
「ごちそうさん。そこ、退いてくれ。帰る」
俺と桜庭さんのやり取りに、呆れたような化野の声。
桜庭さんに抱え上げられ、場を開く。
「明日の夕方、また来るからな。打ち合わせはまたその時に」
「わかった」
「カレシに泣かされたら言え。ぶん殴ってやるから」
「それはいい。その時は自分でやる」
「絶対に泣かさないよぅ」
化野が玄関のドアノブに手をかけたところで、桜庭さんが俺を下ろしてくれた。
「ケイのことよろしくお願いします、桜庭さん。泣かせたりしたら容赦しませんけど」
「だぁかぁらぁ、泣かせたりしないってばぁ」
化野は満足そうに笑いながら、帰っていった。
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