プロローグ

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 戦争の爪痕は550年と言う歳月が流れた今でも大きく、ハルー人の数は減っていた。 教団は、そんな数少ないハルー人を、今でも一部のホマル人に根強く残る劣等感 と言う名の迫害から、保護していた。  戦争を終わらせた救世主、とまで呼ばれるシス教団に入信するホマル人も多く、今ではセウィドの総人口の半数以上の人々が、シス教徒となっていた。  街を歩けば至る所で教団を目にし、家族や親族も纏めて教団に入信しているケースも少なくは無い。 ラインドヘルム王国でさえ、シス教団の後ろ盾の元で造られたとも言われている。  そんな彼らシス教団の現在の活動理念は唯一つ。 「人類平等」  その為に教団は、魔術と言う抗えない事実を持つハルー人を保護していた。 そして人々も、かつての救世主を信じ、平和の為に、シス教団の活動に賛同して行くのであった。  __ここまでが、現在のセウィドの新暦。    そしてこの先の未来は、私にも分からない。  確かに戦争が終わり、文明も確かな発展を遂げたこの世界を造りだしたのは、シス教団のお蔭なのだろう。 街を見れば電柱や列車や、街角を走る車、更には映画館や奇抜な照明等、人々の生活は格段に向上してる。  しかし、その生活を手にしているのは実際、私を含めたホマル人のみである。
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