プロローグ

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 ___新生暦550年。 橙色の夕日が、惑星セウィドの地平線の彼方へと消えて逝く……。 美しき自然の景色の中、男の怒声が響いていた。 「街の方角に逃げているぞ!」 「逃がすなよ!」  逃走用に着用したマントの裾をぎゅっと握りしめ、追われる身の少女は走り続けていた。 何度か転んだりして、擦り傷が身体中に付いていた。 立ち止まりたくなる程の痛みであったが、それでも止まれなかった。 (連れ戻される訳にはいかない……!)  追手の者は、漏れなく全員、シス教徒であった。 何の為に教団から逃げているのか? すれ違う人々には分からないだろうが、その答えは少女のみが知っている。 「その女を捕まえろ! ハルー人だ!」  ハルー人。 後方の男がそう言った途端、周囲を歩く人々が一斉にざわついた。 「なっ!? ハルー人!?」 「なんでこんな所にハルー人がいるんだよ!」  逃げる少女の前に、次々と人が立ち塞がり、慌てて道を曲がる。 《ノーティスへようこそ!》と町名が書かれた看板を素通りし、ひたすらに走った。 「痛っ!?」  突然、何者かに腕を引っ張られ、少女は激痛に顔をしかめながら悲鳴を上げた。
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