光の先にあるもの

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室から出てきた王妃を見た側近は、 「王妃様、姫様は何と仰っておりましたか?」 眉宇を寄せて訊いた。 「言えなかった……」 側近は、ハッと顔を上げ、 「言わなかったとは、何故ですか?」 「あの子の笑う顔を見たら言おうとした言葉が喉にしまいこんでしまった」 ため息をつくと悲しげな顔をした。  実は、五日前に側室のひとりが亡くなっていた。 当初は病死だと思われていたが、調べたとこ側室は食後に急に苦しみ、そのまま息絶えたという。 宮中で、毒殺疑惑がささやかれた。    その、疑いをかけられたのが王妃だった。側室に嫉妬した王妃が毒殺を企てたと根も葉もない噂が流れ、 王の耳にも届きくようになり、王妃に尋問するようにと命が下った。 それからと言うもの、尋問される日々が続き、精神的に苦痛を感じていた。 「王妃様……」 側近は涙ぐむような眼で王妃で言った。王妃の慈悲深い心に余計、胸がに痛みを覚えた。
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