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「入学式!」
「ピンポーン、大当たりー」
なんて、棒読みで告げられる。
窓を開けて、道路を見ようと身を乗り出す。
音に気づいて路上に立つ少年が顔をあげた。
ニヤリ、と微かに口だけ笑う。
ピエロみたい。
「あなた、このままだと、遅刻よ?」
支度できてようとなかろうと、一分後には俺、出発するからね。
にこり、と柔らかな声が一気に低いトーンの鋭い声に代わり、鋭利な豹のように脳に突き刺さる。
うん、西城七葉、完全に覚醒。
通話を切って、携帯を鞄に向かって放り投げて、叫ぶ。
「すぐ行くからまっててにのちゃんっ」
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