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「ねぇ…あんた食べてみる?」
その瞬間、篤斗の体には鳥肌が立った。
―こんな料理食ったらマジで死ぬぞ…。
そのおぞましい恐怖から逃れるために篤斗はぎこちなく顔を横に振り、由紀を傷つけないように言葉を連ねた。
「い、いやぁ…まずはお前が食べてみるべきじゃないのか…?お前の料理なんだし……」
すると今度は由紀の体に虫ずが走った。
―こ、こんなおぞましい料理食べられないよ!
―我ながらよくこんな料理作れたもんだよ…。
―でも川島くんの意見が間違いなく正論だし…。
―逃れなれないわね…もしかしたら、食べてみたら美味しいかもしれないし…。
由紀はお箸を持って決意を固めた。
「じゃ、じゃぁいただくわ……」
「ど、どうぞ……」
篤斗は固唾を飲んで見つめる。
由紀はその液体状のべちゃっとしたものをすくい上げて見つめる。
見ているだけでも吐き気を催しそうだ。
それを勇気を振り絞って、一気に口へと運んだ。
するとみるみるうちに由紀の顔色が悪くなっていく。
言うまでもなく、まずかった。
由紀はすぐにトイレへと向かい、一時間近く吐いていた。
そして時刻は10時。
そろそろ風呂に入る時間帯だ。
篤斗はいつも通りに風呂にお湯を湧かして由紀に報告する。
「お~い。風呂できたぞぉ…」
その言葉に異常な反応を示す由紀。
その反応を察した篤斗もまた頬に汗を浮かべる。
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