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そんな篤斗を見て由紀はハァっとため息をつく。
何を言っても無駄だと判断した由紀は仕方なく篤斗の案内について行くことにした。
とりあえず二階へ上がった篤斗。
廊下の右側には二つの扉がある。
篤斗は奥の方の扉を無造作に開ける。
「とりあえず、ここをお前の部屋にするか…」
その部屋の左側にはベッドが横たわっており、奥の方には勉強机が置いてある。
右側には本棚が置いてあり、中にはビッシリと分厚い本が並べてあった。
その部屋の広さに驚きを隠せない由紀は言葉を詰まらせながら口を開く。
「こ、こんな部屋…使っちゃっていいの……?」
「あぁ、好き勝手に使ってくれて構わねぇから」
「あ、うん…わかった」
―流石は金持ちね…。
ここで由紀にある疑問が浮かんだ。
「ねぇ…ここって、あんたの部屋?」
「いや…俺の部屋は隣だ」
「ふ~ん…」
―じゃぁなんでこんなに生活感に満ちてるんだろう…。
そんな疑問を抱いたが、篤斗が何も言わないので特に口を出さないことにした。
「じゃぁ次の部屋行くか…」
そういって歩き出した篤斗。
しかしすぐに立ち止まった。
そしてゆっくりと振り返る。
その表情は青ざめていて、汗をだらだらと流していた。
「ど、どうしたの…川島くん…」
「や、やべぇ…。小便してぇ…」
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