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「ジェーム、お前な」
少年は倒れている相手を見下ろして、口を歪めた。
「ひ……許して、クレイル。クラスメイトだろ、親友だろ!? 表紙のサラぴょんが俺を呼んだんだよ」
「お前な……」
少年クレイルは、飛び上がって土下座するジェームの目線にしゃがみ込み、にらみつける。
「風俗雑誌は18歳になってからだよ、はあと。ってサラぴょんも言ってるだろうが!! ボクだってまだ16だから我慢してるのに、お前が先にサラぴょんに手を出しやがって!!」
クレイルは胸倉をつかんで揺さぶる。しばらく揺さぶってると青い顔をした、本屋の店主が駆け寄って来た。
「もう、もう大丈夫ですから! それくらいで」
クレイルが気付くと、ジェームは揺さぶられすぎて泡を吹いて気を失っていた。
「ありがとうございました」
頭を下げる店主に、クレイルは微笑みかける。
「たまたまですよ。こいつは寮に連れて帰ります」
ジェームを立たせて、クレイルは歩き去った。
本屋から遠ざかり、ジェームを激しく地面に叩き付ける。
「クレーイルッ!! 何すんだよ!!」
「何って? 腹いせだよ。面倒臭いのに、わざわざ本を買いに行ったのに買い損ねたじゃねーかよ!!」
クレイルはジェームを殴り、ぶーっと頬をふくらませた。
「あーあ、やっぱり部屋でネットショッピングが一番楽だ。アムゾンで本は買おう。あーあ、面倒臭い」
ぶつぶつと言うクレイルをジェームは冷たい目で見て、そのまま一緒に学校の寮へと戻ることにした。
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