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本屋。
そこに訪れる人々は、自らの欲求を満たすものを手に入れるべく、広大な世界に散らばる幾千もの書物を探索する。
柔らかくなびく肩位まである金の髪。夜の闇を映し取ったような、黒とも藍とも言えぬ瞳は大きく、まだ幼さの残る顔立ちの少年が、その広大な世界を歩いていた。
明るい茶色のジャケット、カッターシャツの赤いネクタイには『王立学園』の紋章が刺繍されている。
「次の出張は北の村、クロイマメの洞窟調査だから……」
少年は一つの棚の前に立つと、細い指先を伸ばし、一冊の本を手に取ろうとした。
「万引きだ!!」
入口付近から声がして、少年は反射的に駆け出す。
息を荒げることもなく、動揺している人の波をくぐって、少年は素早く入口にたどり着く。
道を走り去る後ろ姿。同じ学校の制服だった。
少年は息もつかず万引き犯を追い、前に回り込む。
「ちっ!」
舌打ちした相手の肩をがっちり掴んで、少年は微笑み、次の瞬間投げ飛ばした。
手には、封されたままの風俗雑誌数冊を持っていて、それを取り上げる。
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