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夕暮れの道をいつものように肩を並べて歩く。
伊織はずっと恋バナっていうのを話している。可愛らしい女の子……そんな伊織の姿が羨ましく映る。あたしも彼女のように素直に言葉に出来たなら。
だけど出来ない。もし、先に言ってしまったとして好きな人が同じだとしたら……あたしみたいな思いを伊織もするんだ。そう考えればいつだって言葉になんかできなかった。
「ねぇ、蓮ちゃんは好きな人いないの?昔から聞いた事ないけど。」
「いないよ。興味ないもん。」
「つまんなぁい。いつも私ばっかりじゃない?もし好きな人が出来たら絶対一番に話してね?」
「うん。分かってるよ。」
親友だもんね。って笑顔で嬉しそうに言う伊織に対して抱く罪悪感。
いつか、本当に言える日が来ればいいと願った。
その時だ。
「あっーー」
一瞬、キラリと夕陽が光ったように見えてあたしは思わず声をあげた。
「今、何か光ったよね?」
「伊織も見た?」
「うん。太陽が……」
二人して顔を見合わせた瞬間、それはあまりにも突然に起こった事。
夕陽かわぐにゃりと歪んだかと思えば目映いばかりの閃光を放ち一瞬にしてあたし達を包み込んでしまったーー……
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