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「…あ、の…試合凄かったね!その…この間見たんだよ」
彼が前を向いてるお陰で私は顔が暑くならず話せて安心した。
「そう」
「えっと…テニス分からないけど…みんな格好良かったよ」
他の同級生も下級生も凄く頑張ってた。私は本を強く抱えてあの試合を思い出した。
「…みんな?」
「うん、みんな凄かったよ」
夾君は不機嫌そうに私を見た。私はまた彼に見られて体温が上昇していく。なんで不機嫌なのか分からなくって私は目を瞑った。
「…あのさ、とって食おうとしてるわけじゃないんだからさ」
「あ、あ、ご、ごめんね!き、緊張しちゃって」
慌てて彼に謝ると夾君は静かに笑った。
彼の笑顔は綺麗で私はぼんやり見つめてしまった。そうやって綺麗に笑うからみんな近寄っていくんだなぁ。
「…それより入らないの?」
夾君に言われて図書室の前に来ていた事に気付いた私は慌てて部屋に飛び込んだ。
すると何もないはずなのに私は勢いよく転んでしまった。私はよく転ぶのだ。
笑われると思ってた私は恥ずかしくって目を閉じた。
「…ほら」
恐る恐る開けると夾君は私に手を差し出していた。私が思いもしなかった行動に固まっていると彼は無理やり手首を掴んで立たせた。
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