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「麻生!早く部活行くぞ」
いきなり開いた扉に私は驚いてへたりこんでしまった。やってきたのは夾君と同じテニス部の子。
やっぱり部活あったんだと思って夾君を見上げれば、いつもの無表情に戻っていた。
「…分かった」
彼は私をちらりと見て溜め息を一つ吐いた。
「あ、ごめんね…部活あったんだね」
「……それ、返しといて」
投げられた鍵を受け取ると彼は無表情のまま図書室を出て行ってしまった。
私は彼らの足音が遠くなるのを聞きながら鍵を見つめた。
図書室の鍵。
『さて、何でだろうね』
私はレッドよりも冷静沈着なブルーやたまに助けてくれるブラックが好き。
それは私だけの特別な優しさを持ち合わせてるから。
誰にも優しい人なんて嫌なの。
「どうしよ…ブルーかもしれない」
私は未だに高鳴っている鼓動を抑える為深呼吸したが抑える事ができなかった。
私は静かな図書室の中、息を深く吸い込んで目を閉じた。
私はまだこの感情の名前を知らない。
ただ分かっている事は彼がブルーかブラックかもしれないって事だけだ。
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