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ふわふわしていた。 誰かに頭をなでられているような。 見上げるとそこには知らない男の人。 あたしを見て優しくほほ笑んでいる。 そっと手を取って大切そうに握った。 あたしはこの人に笑顔を向けている。 顔が曇ってよく見えない。 この人は誰だろう…。 「……たに。おい、新谷!」 今度は誰かに呼ばれている。 すると肩をとんとんされているような感覚もあった。 ゆっくり目を開けてその先を見る。 すると知らない男の人があたしを困ったように見ていた。 「…?」 「たぶん、呼ばれているよ?」 「え?」 ぼんやりした頭を起こして声のする方を見ると、怖い形相であたしを見ている教授がいた。 「新谷!講義始まっているぞ!」 「ひいい!すいません!」 思わず立ち上がって謝る。 すると周りの受講生がくすくす笑っていた。 恥ずかしくなって小さく縮こまって座る。
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