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最近涼の元気がない気がする。 あたしは病室の花瓶に買ってきた花を生けながら思った。 ぼーっと外を見ている時間が増えた。 話しかけても少ない返事しか返ってこない。 「……涼…?」 「ん?」 あたしは少しでも元気になってほしいと思い、カーテンを開けながら言った。 「今日は天気もいいし、外に行かない?」 彼は少しだけ視線をあげて空を見た。 「……曇っているけど?」 そう言われて空を見ると、確かに灰色の雲が空全体を覆っている。 「えっと…、その…、うん、そうだね…」 慌ててほかに何か楽しませられるものを探す。 しかし何も思いつかない。 本も読み飽きているだろうし、勉強なんかしたくないだろうし、 大学の話をしたら行きたくなっちゃうだろうし…。 「(ぬあーーーー)」 そう頭を抱えると、ふと笑う声が聞こえた。
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