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横にいた彼は声を小さくして「どんまい」と言った。 90分の授業が終わり、あたしはノートを片付けながら隣の彼に声をかけた。 「さっきは起こしてくれてありがとう」 「いいえ。よほど疲れてるんだね。全然起きなかったから」 「疲れているつもりはないんだけどね」 「自覚ない疲れが一番やばいんだよ」 そういって困ったように笑う。 「そうだ、この後暇?」 あたしは時間割を見た。 ちょうど空きコマだ。 亜梨紗との約束もない。 あたしは頷いた。 「最近大学の近くにカフェで来たんだけどさ、女子が多くて行けなかったんだ。 一緒に行ってくれない?」 恥ずかしそうに言うものだから、あたしはつい「いいよ」と言ってしまった。
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