プロローグ

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「どんなささいなお願い事でも黙ってやりきるのが男だぞ。小さなことをコツコツこなした男が偉大な漢となるのだよ。」 そう言うと先生はさぁいってみよーと手を扉の方へ向け指差した。 「だいたい、女性に優しくできねー男はモテないぞ。」 そう、いつもこの一言だ。最後のシメにビシッとハリのある声でしめられる。 この声でしめられると卓哉は何も言えない。 卓哉はシブシブとプリントの束を持ち上げ出口に向かった。 それじゃよろしくなー 後ろから声が聞こえる。 (たくっ、宇佐美のやろー) 宇佐美と言うのはこのプリントの山を渡した先生だ。宇佐美直子。 やろーと言ったが女性だ。見た目は細身でモデル体型、眼鏡と白衣がよく似合う先生だ。そのため男子生徒に人気でおまけに独身らしい。 女子生徒にも優しいため憧れのオトナだった。 いわゆるスーパー教師だ。 そんな先生だったが卓哉にしてみれば天敵だった。 この先生、とにかく卓哉には雑用を押し付ける。そして授業でよく当てられる。なぜか困ったら何かと卓哉なのだ。 ある時は教科書を忘れたとか言って代わりにすべらない話をやれとの無茶ぶりだ。 しかも自分は教科書を取りに行かない。結局1時間すべらない話をやらされつづけた。 またある時は傘を忘れたから家まで一緒に送れと言われ付き合わされた。 (まあ家は近かったからよかったのだが。) とにかくめちゃくちゃなのだ。
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