7人が本棚に入れています
本棚に追加
*--17:51
先程のことをマハト少尉の記憶から薄めさせる意味も込め、MS(モビルスーツ)格納庫へ向かう途中、今回の出撃概要を説明する。
「今回の任務は、この艦に配備された最新鋭機、MSN-001A1δ(デルタ)プラスの機動訓練兼この宙域の探索任務だ。どうやら此処等はミノフスキー濃度が濃いらしくてレーダー探索が出来ないそうだ」
「なるほど。有視界での索敵情報がほしい訳ですね」
「敵がいないとも限らん。注意して行くぞ」
「了解。しかし分かりません。MS科目専攻とはいえ、士官学校出たての新人少尉の私が最新鋭機に搭乗することになるなんて……」
「何を言っている。それだけ期待されていると思って喜べばいい。だからこそ君が私のバディになったのだろう」
聞いた話によればマハト少尉は士官学校ではMS専攻だったらしい。その成績は非常に優秀で、士官学校初のオールSランク保持者のようだ。
「ありがとうございます。自力を尽くします」
そうこうしている内にMS格納庫へ到着した私とマハト少尉は、最終チェックが行われている自機へと向かって床を蹴った。
ふわりと体が宙に浮き、蹴った慣性により真っ直ぐに自機へと向かっていく。
無重力間での移動にもなれたものだ。最初の頃は重心が保てず、くるくる回転してしまって何度も体を壁にぶつけた思い出がある。
だが今ではなんの支障もない。人間の“慣れは”つくづく怖いものだ。
最初のコメントを投稿しよう!