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U.C.0096 12月4日 20:06
寒く、暗く、切なく。独房というのは何故こんななに何もないのだろうか。せめて装飾の1つでもあっていいだろうに。
ましてやここはきらびやかな装飾が大好きな『ネオ・ジオン』を唱う軍に属する戦艦のはずだ。独房にだって装飾があっても、と考えていたところでふと思考が停止した。
「まぁ、いくらネオ・ジオンのバカ野郎たちでも独房にまで装飾はしないか……それにこいつらは残党だ。そんな余力あるわけない」
苦笑混じりに自分にそう呟いていた。
捕虜にされてしまって頭が少し狂ってるのかも知れない。何を考えても妙案が浮かばないのだ。さらにはバカなことまで考え始めるとは、捕虜になったことに対して動揺し過ぎだろう。
「しかし……まさかこの私が捕虜になってしまうとは、とんだ茶番だ」
一年戦争、デラーズ紛争、グリプス戦役、第一次ネオ・ジオン抗争、第二次ネオ・ジオン抗争、と、なんとか生き延びてきた私が、ここで捕虜になるとは、なんと言うか自分の人生において茶番としか表現出来ない。
何故捕虜になってしまったのか、経緯を考えるために私は目をつぶった。
記憶は数時間前に遡(さかのぼ)る。
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