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*--17:50
マハト少尉は私の言葉を真剣に考えているようだった。もしかしたら、素直な性格の者には少々難解な話だったのかも知れない。
「あまり深く考えなくていい。今を全うし、経験すれば自ずと分かるだろう」
「はっ!」
マハト少尉がピシッと一点の曇りも無い敬礼をした瞬間、脳裏に稲妻が直撃したかのような衝撃が走り、思わず私はたじろいてしまった。
その姿敬礼をした姿が、あまりに“大切だった人”にそっくりだったから。
「ち、中佐!」
「大丈夫だ。昔を……思わず過去のいらん記憶を思い出しただけだ。それより、行くぞ!」
多少苦しい状況だったが、強引に重い雰囲気を振り切って更衣室を出る。個人的な感傷だ、マハト少尉には関係がないことなのだ。
マハト少尉は心配そうな顔をしながらも更衣室を出て、小走りで私の横についた。
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