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「りな……」
伸ばせば届く距離にあるその頬に、掌を近づける。
……ぶたれたのか……
りなの父親の様相を思い出せば、おれのところへ来る前に、りなに手を上げたことはたやすく想像できた。
痛みを癒したがる指が、赤みを帯びた丸い頬に触れる直前。
おれを見つめる瞳は逸らされないまま、小さな身体は肩を震わせ強張った。
拒絶を思わせる光景に、心に大きな亀裂が走る。
おれはもう……触れてはいけないらしい。
行き場のなくなってしまった手をだらりと下ろす。
落ちていく手とともに視線を下ろすと、華奢な身体に纏うたおやかな白色のワンピースの腹部に、明らかな膨らみを見つけた。
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