そばに…

９

「そうちゃんのこと、信じてないわけじゃなかったの……

　でも、わたしの心が弱かったから、……言えなくて……っ」

おれは、自分のことばかりで……

勝手な欲望で、りなを苦しめていたのに、

勝手におれの想いを押し付けるだけ押し付けたまま、離れてしまった。

「……怖くて……

　……い、っいらない、って、言われるのが、……怖、く……って……」

本当は、おれがそばにいてやらなくちゃいけなかったのに……

「わたし、……自分のことばっかりで……」

「違う。お前は何も悪くない」

いつもおれのことを想ってくれていた。

「違、うの……っ」

「りなは、優しいから」

いつも自分のことのように、おれのために心を痛めてくれていた。

「……そんなこと、ない……っ」

「おれはいつも、その優しさに甘えてた」

ふるふると首が振られると、零れる涙が震えながら落ちていった。