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ああ、そうだったのか。 こんなときにでも、おれ達は同じ気持ちでいたんだ。 お互いがお互いを必要としていたのに…… お互いを思いやるあまりに、……それを伝えられなかっただけだ。 「でも、……現実は思うように動いてくれなかった……  自分の心さえも、自分が思っていたようには、いてくれなかったの……」 目の前でぽろぽろと零れ続ける涙を、今さら何もできずにただただ眺める。 「連絡の手段を取り上げられても、話をするきっかけくらいいっぱいいっぱいあったのに……」 そこで初めて知った。 あの夏の日から、おれに一切の連絡がなくなってしまった理由を。 そうであれば、外出だって咎められていたかもしれなかったんだ。 「パパのいる大嫌いな大人の世界が、パパを苦しめてた……  ママの涙を見て、わたしが望んだ未来は、間違ったものなんじゃないかって、思ってしまったの……」 それなのに、おれは……なぜ、何もしなかったんだろう。
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