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一番そばにいなければいけないときに限って、りなから離れてしまっていた。
「ひとりでいると、自分の考えがわからなくなって、……不安で、怖くて……辛くて……」
だから、……仕方がないんだ。
「そしたら、泰地が、……そばにいてくれて……」
こうなることは、ごく自然なことだ。
りなが悪いわけじゃない。
誰が悪いわけでもない。
「泰地は、わたしのこともそうちゃんのことも全部理解したうえで、それでもそばにいてくれるって……
……こ、この、子のことも……っ……、自分の子供として一緒に幸せにするから……って――……っ」
涙を拭うこともせず、一生懸命に気持ちを伝えようとする言葉は、嗚咽に震える。
いつだっておれは、こうやって何もせずに甘えて、りなにばかり負担を強いていた。
周りの目に怯える情けないおれを、ただひたすらに愛してくれていたのに。
そんな純粋な心を持っているりなを、……愛していたのに。
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