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そのあと、彼は何も口にすることなく、おじさまに引きずられるようにして、わたしの部屋から出ていった。
わたしのことも、もう他の何も、見えていないみたいだった。
「……ご、め……っ……ごめんね、そうちゃ……っ」
床に座り込み両手で顔を覆うけれど、謝罪の言葉と涙は行くあてもなくただ零れ落ちるだけだ。
「……莉那」
ぎくりと肩が飛び上がったのは、さっきわたしの前で怒りを爆発させたパパの声だったから。
また怒られるかもしれないという恐怖が、顔を上げさせなかった。
聞いたこともないようなパパの叫声はまだ、耳にこびりついたまま。
『莉那……お前……
なんだ……その、腹は――……』
卒業式の今日。
仕事ばっかりだったパパと久しぶりに顔を合わせたのは、ほんの数十分前のことだ。
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