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「おはよ。そうちゃん、早かったね」 「母親に叩き起こされて、ここ着いたの1時間も前……おかげで、すげー眠いんだけど」 軽く溜め息を吐きながら、わたしの荷物だけではなくパパ達のバッグも取り出してくれるそうちゃんに、ふふと笑いを零す。 「ありがと」と言うわたしの声はすぐ隣で聴こえているはずなのに、少しも偉ぶるようなことはしない見慣れた横顔が、……わたしの胸をほんわかと熱くさせるのは、いつものことだ。 重い荷物を軽々上げるそうちゃんに、男の人を感じさせられる。 わたしのものとは、一回りも二回りも違うシャツから伸びる腕のたくましさに……つい視線が後を追う。 おててつないで歩いてた頃は、二人とも同じくらいにむちっとした子供の腕だったのに。 おんなじくらいだった背丈も、おんなじくらいだった身体つきも…… いつの間にか、大人に近づいていて、 いつの間にか、……全然違う男と女になってた。 「……」 見上げる綺麗な横顔に、胸がきゅうっと掴まれる。 心地の好い胸の締めつけに浸りながら、すぐ隣で遠慮なくまじまじと見つめるわたしに、そうちゃんが「うん?」と首をかしげた。 視線が合うと増す胸の窮屈さがまた……快感だ。 「そうちゃん、力持ち」 ちょっとだけ変態染みた感情を胸に収め、日焼けに気をつけてる不健康そうな腕を伸ばして、そうちゃんと比べっこしてみた。 「ひょろっこいね、わたしの腕」 「お前は細すぎ。抱きしめると折っちゃいそうだもんな」 くすくすと笑われる何気ない言葉の端っこで、……わたしの身体を、芯から熱くする感覚が蘇る。 わたしを包んでくれるそうちゃんの、あったかい腕の中。 真夏でも暑いとは感じることがないのは、……擦り寄るわたしを強く、とても優しく抱きしめてくれる腕が、 そこに持つ温かな安らぎで、心を満タンにしてくれるからだ。
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